似ているようで全然違う?「酵素」と「酵母」

 どちらも聞きなれた言葉である「酵素」と「酵母」。この2つの言葉の意味をきちんと説明できる方は、意外と少ないかもしれませんね。「酵素」は、細胞によって作られ、体内で起こるさまざまな化学反応や代謝を助けるはたらきをしています。

生命を維持するために、酵素はなくてはならない存在です。これは私たち人間のみならず、動物や植物においても同様です。一方、「酵母」は、パンの製造やビールの醸造に使われる材料として有名です。古くから食品加工に利用されてきました。

今回の記事では、酵素と酵母の違いについてご紹介します。

酵素とは

 先ほども少しご紹介したように、酵素は細胞内で作られ、体内で起きる化学反応すべてに関わる化合物の総称です。「酵素」という物質があるわけではなく、いろいろな働きを持つタンパク質、またはいくつかのタンパク質が結合した複合タンパク質をまとめて酵素と呼びます。体内で起きる化学反応とは、消化や吸収、呼吸などを指します。

酵素は必要なときに必要な分だけ作られる仕組みになっており、そのはたらきによって「消化酵素」や「代謝酵素」のように細かく分類されます。たとえば、消化酵素は消化を担う胃(胃液)などに含まれています。

実は、私たちは食べ物を身体の中に取り込んだり、空気を吸い込んだりするだけでは生きていけません。酵素が食べ物を栄養素として利用できるレベルまで分解したり、空気から酸素を取りだしたりする機能を助けることで、はじめて人間として生活することができるのです。私たちの体内以外でも、酒やみその醸造に酵素が使われることもあります。

酵素を含む食品

 基本的に、すべての食品は何らかの酵素を含んでいます(動植物すべての細胞が酵素を作るのですから当たり前ですね)。野菜、果物、肉、魚、すべてです。ただし酵素がその力を発揮できるのは生の状態のみ。焼く、煮るなどの加熱調理をしてしまうと、約42~70℃で酵素は破壊されてしまいます。

中でも酵素を豊富に含む食品として、生の野菜、特にレタス、にんじん、セロリ、キャベツ、トマト、きゅうり、だいこんなどが挙げられます。キウイ、バナナ、りんごなどの果物にも酵素は多く含まれています。また、味噌、しょうゆ、納豆、漬物、麹など、私たち日本人になじみ深い発酵食品も酵素を多く含みます(もちろんキムチにも!)。

酵母とは

 酵母は酵素と違い、生き物の一種です。詳しく言えば菌類の一種で、酵母菌ともいいます。酵母菌は糖分を分解してアルコール発酵を行ってくれます。発酵により香りの成分も作ることができます。

酵母の利用方法として有名なのはパンやビールの製造です。ひとくちに酵母といっても、ビール酵母やぶどう酒酵母、パン酵母など、用途に応じてさまざまな種類の酵母があります。

酵母菌はそれ自体にタンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素を含んでいます。

酵母を含む食品

 酵母を利用して作られている食品は、世の中にたくさん存在します。清酒(日本酒)や焼酎、ビール、ワインなどの酒類、味噌や醤油、お酢などの発酵調味料、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、パン、クッキーなどが酵母の力を借りて作られています。

酵素ダイエットと酵母ダイエットは何が違うの?

酵素ダイエットのしくみ

 酵素は体内のさまざまな反応を助けてくれていますが、これが不足すると、脂肪を効率よく燃焼することができなくなり、太りやすい体質になってしまいます。酵素には、体内で作られる消化酵素と代謝酵素、そして食べ物に含まれる食物酵素の3種類があります。

酵素が含まれる食品を積極的に摂ると、体内の循環がスムーズに回るようになり、必要なエネルギーや栄養素だけを取り入れて無駄なものをため込まない体質になることができます。消化酵素の無駄づかいを防ぐこともでき、ダイエットに役立ちます。

ひとつ注意したいのは、酵素を取っただけではダイエットにならず、運動も一緒に行う必要があるということです。消化酵素の1種であるリパーゼが脂肪を分解してくれても、それを消費しなければ、再び脂肪として体内に蓄積されてしまいます。

ダイエット向きの酵素を豊富に含む食品

 酵素を豊富に含む食材として挙げられるのが、生野菜と発酵食品です。まずはこの2種類を日常生活に積極的に取り入れていきましょう。

実は、酵素を多く含む食品を食べても、体内で作られる酵素の量が増えるわけではありません。食物酵素は胃で消化されてしまいます。

しかし、食物酵素には食べ物の持つ効果や風味を高めたり、消化をしやすくしたりするはたらきがあることが知られており、体内の酵素を活性化してくれると言われています。食物酵素を積極的に摂ることは、健康な身体づくりに役立つと考えられます。

野菜や果物、発酵食品には酵素のほかにもビタミンやミネラル、食物繊維といった健康に役立つ成分が含まれているので、腸内環境改善の効果も期待できます。

腸内環境が整うことは便秘改善につながり、ぽっこりお腹の解消も期待できます。

酵母ダイエットのしくみ

 先ほど、酵母菌には糖分を分解するはたらきがあるとご紹介しましたが、さらに糖質の吸収をおさえてくれるはたらきもあります。普段の食事に酵母を取り入れることで、効果的にダイエットを行うことが可能です。

酵母自体にも栄養が含まれているため、栄養を補給しつつダイエット効果を期待することができます。

酵母の力を活かしてダイエット

 酵母には、さまざまな種類があります。

ビールを作る過程で用いられるビール酵母は、原料である麦のアミノ酸、ビタミン、ミネラルを栄養として増殖し、消化機能を助ける作用を持っています。また、乳酸菌などの有用菌を増やす役割も持っています。

酵母の持つビタミン群は、体内での酵素のはたらきを後押しする補酵素としてはたらいてくれます。

腸内環境が悪化すると、体内に悪影響を及ぼす菌が増殖し、脂肪を体内に蓄積しやすい身体になってしまうことが知られています。

酵母を摂取することで腸内の有用菌を増やし、腸内環境を改善することで、痩せやすい身体を手に入れることができます。

酵母を含む食品、特に酵素も多く含む発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルトなど)を意識して摂るようにしてみると、健康で美しい身体に一歩近づくことができますよ。

酵素、酵母ダイエットに不向きなのはこんな人!

 どちらのダイエットにも共通して言えることは、「むたみやたらに酵素や酵母を摂取しても意味がない」ということです。このような作戦を考えている方は、ちょっと方向転換しましょう。

酵素や酵母の力をうまく利用するためには、食生活を見直すことから始めましょう。

毎日の食事をバランスよく摂るとともに、食事の中で酵素や酵母を含む食品を摂るように心掛けることで、徐々に痩せやすい身体に近づいていきますよ。